※こちらの記事は2022年5月25日に公開したものを、修正してバージョンアップした記事です。
青森市の小学校では、6年生がメイン出場し5年生が応援に行く「青森市小学校体育デー」というものが毎年6月頃に行われます。
青森市内の公立小学校全42校(2023年4月1日現在の小学校数)の6年生が一堂に会し、8種類の陸上競技を競い合う陸上競技大会のようなもので、青森市内の陸上競技場で行われます。
2020年、2021年はコロナの影響により開催が中止。
2022年も残念ながら、雨天のため中止となりました。
(3年ぶりに開催予定でしたので6年生は毎日放課後練習に励んでいました)
そして2023年は、ようやく小雨(時々小雨ではありませんでしたが)降る中でも開催となり、2019年以来の「青森市小学校体育デー」が、新青森県総合運動公園・カクヒログループアスレチックスタジアムにて開催となりました!
コロナ前は、青森市内全小学校の6年生が貸し切りバスで競技場へ行くため、青森市の観光バス(貸し切りバス)はすべて出払ってしまうため、5年生は徒歩で競技場まで応援に行かなくてはならないと、上級生のママさんたちから聞いていました。
競技場から遠い地域の場合はどうだったんでしょう。(調べてみても出て来ませんでした)
徒歩で競技場に行くというのはなかなか大変です。遠方の学校を優先してバスを出してくれていると信じたいです。
青森市の小学校は比較的5月に運動会が行われます。
私が小学生時代を過ごした北海道岩見沢市でも、運動会は5月でした。
北海道の場合は、早ければ10月半ばに初雪が降る事があるため、10月に運動会となるとかなり肌寒い季節となってしまいます。(北海道では紅葉も始まっています)
青森も11月には初雪が降るので、10月の運動会はやや肌寒い場合もあります。
2020年、2021年はコロナの影響で5月から10月に運動会が延期になったのですが、幸いちょうどよい気候でした。(朝晩は少し寒いですが)
例年では5月に運動会が行われるのですが、運動会の中で5~6年生が合同で踊るダンスがあります。
それが、『ダンスNE・BU・TA』です。
この『ダンスNE・BU・TA』は、先述の「青森市小学校体育デー」の最後に、青森市内の全小学校6年生の児童たちが一斉に踊るために練習し、まずは運動会で披露するのです。
『ねぶたダンス』などとも呼ばれますが、いわゆる「ねぶた祭」で「ラッセラーラッセラー」と掛け声を出しながら跳ねる、跳人(はねと)のダンスとは全然違います。
しかも、これを踊れるのは青森市内の小学校で5~6年生を過ごした人全員と言っても過言ではありません。
中学生高校生、そして大人の方も、青森市内の小学校で5~6年生を過ごした方たちも一定の年齢までの大人の方までは『ダンスNE・BU・TA』を踊れるということでしょう。
この記事では、跳人のダンスとは違う『ダンスNE・BU・TA』こと、『ねぶたダンス』について書いています。
『ねぶたダンス』なんて青森市民以外の人はもしかしたら初めて聞きますよね?!しかも「ラッセラー」ではない踊りなのです!
『ダンスNE・BU・TA』ってどんなダンス?
百聞は一見に如かずですので、YouTubeに上がっている動画を載せますね。
2014年に投稿されている動画なので、その当時の頃のものでしょうか。
娘も2022年に青森市内の小学校5年生になったので、運動会でこのダンスを踊りました。
練習期間がとても短くて、毎日何度も何度も練習をして6年生と一緒に合わせて踊る練習もしていました。
コロナ禍でなければ、もっと凝ったフォーメーションなどもあったようなのですが、今年の娘の小学校では、校庭に大きく輪になって5年生が外側から内側へ、6年生が内側から外側へと入れ替わるだけのものでした。
練習時間も少なかったので、そこまで凝ったこともできなかったのかもしれません。
それにしても、動画のように青森市内の全小学校6年生の児童が一斉に踊るのは圧巻ですね。
学校ごとに振付を細かく変えているのも、それぞれ練習して集ったということでしょうか。
コメント欄にも「懐かしい」という声も多く見られます。
そして、遂に2023年にはカクヒログループアスレチックスタジアムでの初開催!予定では2022年からこちらでの開催予定だったのですが、残念ながら雨で中止に。
そして小雨が降る中で2023年に開催された際の『ダンスNE・BU・TA』をYouTubeに載せてくださっている方がいらしたので、こちらにも追加させていただきます。
競技場が変わったことで見え方も全然違いますね。
振付をどうやって覚える?
青森市内の小学生は、4年生以上にタブレット端末を貸与されています。
その中で振付動画がアップされており、娘はそれを見ながら家でも練習していました。
タブレット端末が貸与される前は、学校でひたすら練習を重ねる方法だったのでしょうか。
娘から振付動画を見せてもらいましたが、平成19年度当時の造道(つくりみち)小学校の先生たちがお手本となっている動画のようです。
左右反転で踊ってくれているので、お手本動画の先生たちと鏡合わせになっている形で覚えることができるので、とてもわかりやすい動画になっています。
動きはなにげにハードで、ダンス時間もなかなか長いですね。
「せんたくせんたくごしごし~」とか「ねえねえきみきみお茶しな~い」と、ところどころそう言いながら覚えるパートもあるようです。(娘も言っていました)
振付動画の最後に『青森市小学校体育デー ダンス推進委員会』と記載もありました。
主に青森市内の小学校の先生たちです。
音楽は、なんと『かっぽれ侫武夛(ねぶた)』という曲名で、宇崎竜童さんが作曲された曲だそうです!
演奏は、青森山田高校吹奏楽研究会と記載がありました。
こちらの練習動画は、学校内のみ児童に対してのみ見られるようにしているものなので、YouTubeなどにはありません。
『かっぽれ侫武夛』は青森のためではない?
『ダンスNE・BU・TA』に使われている音楽が、宇崎竜童さんの『かっぽれ侫武夛』ということがわかったのですが、どうやらこの曲は『ダンスNE・BU・TA』のために作られた曲ではない、ということもわかりました。
吹奏楽コンクールさんのX(旧Twitter)を引用させて頂きましたが、どうやら、静岡県の「清水みなと祭り」のために、宇崎竜童さんが作った曲なのだとか。
そして更には、野球の応援に合う吹奏楽の楽曲としても野球ファンにも知られることとなったようですね。
「かっぽれ」とは?
「かっぽれ」とは、コトバンクによると
「カッポレカッポレ甘茶でカッポレ」というはやしことばのある俗謡に合わせて踊るこっけいな踊り。また、その歌。幕末に起こり、明治中期ごろ全盛をきわめた。
コトバンク「かっぽれ」とは精選版 日本国語大辞典「かっぽれ」の解説
との記載がありますが、これとはちょっと違うようですね。
静岡県清水みなと祭りの「かっぽれ」
「清水みなと祭り」と関連した「かっぽれ」と思われるので、そちらを調べてみました。
「港かっぽれ・総踊り」というものがあるということがわかりました。
コロナ禍でここ2年は開催が見送られ、2022年は開催され73回目、2023年が74回目となったそうなのですが、50回目の時に青森のねぶたを基調とした宇崎竜童さん作の『かっぽれ侫武夛』が発表されたそうです。
そして50回目は1997年だということがわかりました。
ということは、この『かっぽれ侫武夛』の曲を用いての『ダンスNE・BU・TA』は、1997年以降にできたものなのではないか?と思ったのですが、調べてみてもいつ頃から踊っていたのか詳しいことはわかりませんでした。
『かっぽれ佞武多』の演奏と踊り
こちらは東京都足立区にある、潤徳女子高等学校吹奏楽部の演奏の『かっぽれ侫武夛』の演奏です。
最初の部分の掛け声が『ダンスNE・BU・TA』とは違い、宇崎竜童さんの原曲のままの掛け声になっています。
こちらは、清水みなと祭りの『かっぽれ侫武夛』です。
宇崎竜童さんのボーカル入りの曲に合わせた踊りですね。こちらが元祖の『かっぽれ侫武夛』という事なのですね。
青森は「侫武夛(ねぶた)」つながりから……
青森市の小学5年生と6年生が運動会で踊るために作られた曲ではありませんでしたが、宇崎竜童さんの『かっぽれ侫武夛』は、青森のねぶたが基調になっているとのことなので、全く縁がないわけではないということがわかりました。
途中にも「ラッセラーラッセラー」という掛け声もあります。
そして青森市の小学生が踊る『ダンスNE・BU・TA』は、この『かっぽれ侫武夛』の曲の一部を編曲されたものということがわかりました。
ですが、振付を考えたのはどなたなのか、いつ頃から始まったものなのかは調べてみてもわかりませんでした。
小学校の先生方が考えられたのでしょうか。
振付にやや1980年代の香りを感じた私ですが(井本美幸さんのオーディション時のあの有名なステップに似た部分があります)正確なことはわかりませんでした。
宇崎竜童さんが『かっぽれ侫武夛』を清水みなと祭りで発表したのが1997年、というのがわかったので、恐らくそれよりも後にできたものと推測されます。
1997年に発表された『かっぽれ侫武夛』ですが、1997年当時に小学校6年生12歳になる年齢の方というと1985年生まれ。5年生11歳になるなる年齢の方は1986年生まれということがわかります。
ちなみに、1984年と1988年生まれの2人の友人姉妹に「小学校の頃に踊りましたか?」と聞いてみたところ「私たちの時は踊らなかった」と言っていたので、『ダンスNE・BU・TA』は1988年生まれ以降の方から踊ったのではないか、というのは何となく推測できました。
学校によって踊り始めた時期が違うという場合もあるかもしれません。
1988年生まれの方が小学6年生12歳になるのは、2000年です。
ということは、2000年以降というのは確実なのではないかと思います。
『ダンスNE・BU・TA』を初めて踊った日が判明!
その後の調べにより、「ガジェット通信」というサイトの「○○民ならできること―読者通報があった各地の謎の文化まとめて紹介」という、2013/06/14 13:32に作成された、おたくま経済新聞の記事に以下の様な記載がありました。
▼「体育デー」のダンスが踊れる
青森県青森市では毎年6月ごろに、市内の小学校6年生を集めた「青森市小学校体育デー」という催しが行われるそうです。昨年は市内47校から6年生約2700名が参加。
大会では陸上競技10種目の他に参加者全員で行うダンスがあるそうです。
それがここでいう「体育デーのダンス」と呼ばれるもの。
正しくは「NE・BU・TA」という名前のダンスで、2000年7月13日に行われた「第47回青森市小学校体育デー」で市内3181名の小学生で踊ったのが最初になっています。
以来、毎年このダンスは体育デーのフィナーレを飾るようになり、今では大会の目玉の一つになっているそうです。
ちなみに投稿者によると「たぶん、体育デーって単語を聞いただけで8割くらいの人は笑う」ともコメント。小学生時代を青森市で過ごす方にとっては、色んな思い出が詰まっているダンスなんでしょうね。
「ガジェット通信」「○○民ならできること―読者通報があった各地の謎の文化まとめて紹介」
こちらの記事にあるように、2000年7月13日に行われた「第47回青森市小学校体育デー」で踊ったのが最初ということがわかりました。
推測がおおよそ当たりましたね。
それにしても2000年代の踊りというには、ちょっとレトロな振付な印象もありますが……その当時の先生たちが振付を考えて下さったのだとしたら、1980年代の雰囲気のあるダンスというのもなんとなく理解できるようにも思えます。
2000年から2023年現在まで続いています
「青森市小学校体育デー」は、2020年と2021年の開催はコロナ禍のため中止となりました。
今年2022年は開催予定だったのですが、雨天のため残念ながら今年も中止となりました。
参加は6年生のみで5年生の応援もない予定でした。
コロナでの中止ではありませんでしたが、この日のために練習を重ねてきた6年生。
雨天のための中止も悔しかったと思います。
『ダンスNE・BU・TA』をフィナーレできっと踊るのだったのでしょう。
2000年当時、青森市の公立小学校の数は47校とのことでしたが、現在は42校です。(青森県のサイトより)
5校はすでに廃校になってしまったということでしょうか。
地域によっては全校児童が50人にも満たない小学校もあると聞いています。
人数の少ない小学校のお子さんたちは、大人数で踊る『ダンスNE・BU・TA』に驚かれるかもしれませんね。
来年こそは開催されるであろう体育デーですが、来年こそは天候にも恵まれ、コロナ感染者も減少し、怪我なく子供たちが楽しく競い合い、踊れるイベントとなることを願っております。
2023年は天候には恵まれなかったものの、コロナも5類感染症となり、マスク着用も個人の自由となり、6年生のみの参加(保護者の見学OK)となりましたが、無事に開催されてとても思い出深いイベントとなった様子でした。(私も観に行きました)
2022年には、青森ねぶた祭が3年ぶりに開催。2023年も続けて開催となりました。
『ダンスNE・BU・TA』の中にも登場する「ラッセラーラッセラー」と跳ねる「跳人(はねと)」はねぶた祭は下のボタンから。
大迫力のねぶた祭、ぜひ一度は青森まで体感しにいらして欲しいな~と思います。